※2002年4月着想、6月〜12月創作※ 小説「MOON」のイメージは、いくつかのGackt氏の作品から生まれたものです。 Gackt氏の作品をご存じない方にもイメージして頂く為に、ちょっとご説明と、この小説を書くまでとなったきっかけ、夢見た映像を書き留めておこうと思う。 2002年3月1日発売、VHS「微風(そよかぜ)」の「12月のLove song」PV《*1》と「Life−輪廻−」《*2》の映像から。 《*1》はYou君(Gackt Jobメンバーです)扮する彼が、街を歩く傍に、通りの其処彼処から見つめる存在のGackt氏が居る。最初は気付かないのだけれど、最後にベンチに花束を持って座る彼がふと横を見ると、其処にはGackt氏の姿が。 《*2》の方は、「僕は生まれ出でたる時から誰かに見守られているような気がする、何処からか声が聞こえてくるような気がして」と感じている彼。 「そう、ずっと、私が守っているのだから」 「彼はまだ私の存在に明確には気づいてはいない」とGackt氏の声。 <以下映像に載せたGackt氏の語り> 僕の中に存在する僕ではない存在 彼の中に存在する何者でもない存在 3つの視点から彼を察知してみる 彼の迷いを取り去ることは私には出来ない そう、今の私にはまだ出来ないのだ 私はいつも彼の後を追っている 彼が今何を感じているのか 彼は今何を考えているのか 彼に触れる瞬間、まるで私のことのように、手に取るように分かる −中略− 私は単一の存在ではない 故に1人でも孤独ではない 彼は人で在るが為に、孤独を愛してしまったのか 別の私が、彼に触れることを邪魔する いつの間にか彼の姿が私には見えなくなったとき 彼の存在が私に触れているような、そんな気がした 「彼はまだ私の存在に明確には気づいてはいない」と、彼の声。 このモノクロの映像がとても印象的で、本編の「ANOTHERWORLD」「12月のLove song」のPVよりも妙に心に引っ掛かってしまった。 彼(人)が感じていた存在は私(目に見えない存在)、けれど彼の意識に触れよう、近づこうとした私は、最後には彼との【場所】がすり替わっていた。 【場所】と書いたが、存在する処、何か精神の構造というか、精神の存在位置のような気がした。 目には見えないけれどいつも近くに感じている、此処に居る自分とは別の存在があるような。それはもう1人の自分なのか、それとも違う存在なのか。 実は、今このあとがきを書いている最中に気づいたことがあった。 小説「MOON」を書いていた頃は、後に述べるような登場人物の心の叫びとか、日常の生活光景が降りてきていたので、目指すところというか、構成はあまり気にしないで書いていた。(これはいつものことなのだが) でも今あらためて「Life−輪廻−」《*2》の映像を確認し、「私、彼、彼の中の何者でもない存在」という語りが、正にLucifer、Sariel、Ramielの3人の存在のことだと思えた。 さて、楽曲からどんな光景が浮かんでいたのか少しお話しよう。 まずは、2002年4月24日発売、Maxi Single「忘れないから」のB面「Dooms day」を聴いて、LilithがLuciferを剣で刺している映像が浮かんだ。 そして、2002年6月19日発売、3rd Album「MOON」その楽曲すべてが、Lucifer、Sariel、Ramielの心だった。 中でも「rain」は深く深く心に沁みついて、哀しく、せつなく、けれど優しい、そんな印象。 前後するが、2001年9月5日発売、Maxi Single「ANOTHER WORLD」のB面「Fragrance」も、とても心に残っていた。後から感じたのだが、これはLuciferの心だった。 静かなメロディだけれど、深く激しい心の叫びのような気がしていた。 ここで少し、Album「MOON」の楽曲から浮かぶ、特に心に残っている私の中の映像をお話したい。 「rain」 窓辺に立つLuciferは静かに降る雨に思いを寄せる。近くのテーブルには今はもう動かない時計、その針に触れ、自分には時が無いことに哀しみ暮れる。 LuciferはVampireで在るがために永遠の時間(とき)を手にしている。でも、時間(とき)は過ぎ去るから、瞬間瞬間が消えて無くなってしまうからその意味があるのだと感じているLuciferは、死することも必要なことなのだと思っている。 そして人間は死ぬ、それは自然なこと。だが魔物である自分は・・・。 LuciferはSarielがLilinを喪った心の痛みを知り、自分の囚われている哀しみに重ね合わせていた。そしてSarielに誰の慰めも届かないことは分かっていた。 ならば自分がすべてを消し去ってあげたい、そう思うのだった。 Luciferが罪を犯したと言って自分のことを責めているのを、Sarielにはどうにも出来なかった。けれど、誰もLuciferのことを責めたりしてはいないのだ言いたかった。 そしてLuciferがLilithと逝ってしまった最期の光景が頭から離れないSarielは、逝かせてしまった自分の過ちを悔いていた。 「Dooms day」 哀しい夢は終わり、そして遠い昔の愛しい優しい夢に包まれるだろう。けれどそのためにはしなければならない罪がある。哭き叫びながらLuciferに剣を刺す自分の姿。 何ともせつないLilithの心。 「death wish」 丘に立ち、長い黒髪を風に靡かせて遠くを見つめるLuciferの姿。 暗闇の中に空を見上げるLuciferと、その姿を優しい光で照らす月を見ているSarielの心。 Sarielが星空を見ているときの気持ち。 自分もよく夜空を見上げて、単純に「綺麗だ」と思うが、こういう風にフレーズが出てくるのは素敵だと思う。私もこういう感覚を持っていたい。 以上がAlbum「MOON」の楽曲から最初に浮かんだ映像だった。 私はGackt氏の楽曲を1・2度聴くと、まずは映像が降りてくる。 ボーっと何も考えずメロディを聴いていると、断片的な映像が頭に浮かぶ。そしてこの最初に浮かぶ映像がすべてを構成するようになる。 後はその映像を文章にしていると、次から次へと登場人物が私の中で生活し始める。もう実在の人物が其処に存在するかのようで、まるで登場人物の営みの中を、私が透明人間にでもなって垣間見ている感じなのだ。 私が初めて、2001年秋にGackt氏の作品に出会ってから、ひとつのメッセージを受け取ったような気がしている。 Gackt氏の楽曲は情緒的で、Music&Lyricともにせつないものが多い。哀しいフレーズなのにポップだったりロックな曲調だったりするが、Lyricの意味を考えると、せつなさが溢れている。 今は居ない相手を想う心、自分は何のために生まれてきたのか、逝かなければならない、還れない、等等。 Lyric自体は哀しいものだが、私は、 「すべては儚い、だからこそ大切に思える人やものを、今大切にしなければいけない」と、そう感じた。 無くしたときには遅いのだ。人は無くしたときにその重大さを思い知ることが多い。気づいたときには、すべて自分の前から無くなっている。 だからこそ、今を大切にしなければいけないのだと。 Gackt氏は作品に対して、明確なメッセージを述べたりしない。Gackt氏にはもちろん、作品に対する思い入れや考えがあるのだろうが、すべては受け取った者が感じればいいことだと、どんな解釈をするかは本人次第だと言っている。 私が受け取ったと思うメッセージは、簡単なようでなかなか難しいことで、すべてに対して実行するのは容易なことではない。まだ私はそんなに強くないから。 最後に、番外編として作品上の登場人物の心情と、Gackt氏のLyricとの比較をして載せたかったのだが、Lyric掲載は著作権の問題上無理のようだ。 確認したが、「オフィシャル以外での掲載はお断りさせて頂いております」とのこと。 Gackt氏の楽曲を知らない方に想像して欲しくて、掲載したかったが残念です。 部分掲載も許可が下りなかったので、歌詞ナビを参照にリンクしました。 長々と最後まで読んでいただいた方、感謝!感謝!
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