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街は浮かれていた。 恋人達や、家族連れの行き交う波が溢れている。 「ママ! こっち、こっち」 「そんなに走ったら転ぶわよ」 「Kano 、ダメだよ、ほら」 「Kano 、お兄ちゃんと手を繋いで、危ないよ」 「平気よ、早くぅー あっ!」 「ほら転んだ」 「痛ぁーい」 「だからママが走るなって言ったろ、しょうがない奴だなぁ」 「痛いよぉー お兄ちゃん」 「ほら立ってごらん、お 「うん」 「本当にあわてんぼうなんだから」 「誰に似たんだろうな」 「あら、誰かしら?」 「もう大丈夫だろ?」 「うん、ありがとうお兄ちゃん、ねぇこれ見て! これ可愛いでしょ?」 「こないだも見たじゃないか同じやつ」 「違うもん、こないだのより可愛いでしょこの天使」 「同じだよ」 「違うよ、絶対これがいい!」 「どうしたの?」 「ママ、Kano ったらまた同じ天使見てるんだよ」 「どれ?」 「これ! ねっ可愛いでしょ?」 「本当にKano は天使が好きなんだな」 「だってパパ、これRino ちゃんのお部屋に飾るんだもん」 「Haruto 兄ちゃんの部屋だろ?」 「2人の部屋!」 間、髪入れずに突っ込みをするRikuto に、Kano も負けじと答える。 「もういっぱいあるでしょ?」 「いやっ! 絶対これ買って!」 「クリスマスになるといつも天使買ってるじゃない」 「Kano はRino お姉ちゃんとHaruto 兄ちゃんのために買ってるんだよ」 「そうよ」 「Rino ちゃん・・・」 「Ryuji 」 Rikuto が2人のためだと言うのを聞き、Ryuji はどこかせつなさを感じて呟いた。 それに気づいたYoko も同じ気持ちだった。 「Kano ちゃん、また天使かい?」 「可愛いわねぇ」 「でしょ?」 「今年はこれにするの?」 「うん」 「じゃあ俺が買ってやるよ」 「本当?」 「いいわよSatoru 」 「いいじゃないか、Haruto とRino ちゃんのためなんだから」 「悪いわね」 「このくらい安いもんだよ、それにKano ちゃんの気持ち、大切にしてやりたいじゃないか」 「Satoru 」 「兄貴だってそう思ってるんだろ? 本当はYoko だって」 「まあね」 「じゃあ決まり! Kano ちゃん行こう」 「うん!」 Satoru はKano とRikuto を連れて、ウィンドウに飾ってある陶器の天使を買うためにその店に入っていった。 天使の置物をラッピングした箱を大切そうに抱えたKano はとても嬉しそうで、大事な宝物を手にしたように微笑んでいた。 「よかったなぁKano 、Satoru 兄ちゃんにちゃんとお礼は言ったのか?」 「うん、言ったよ」 「ありがとうSatoru 」 「いいってことよ」 「よかったわねぇKano ちゃん」 「うん、ねぇSaori ちゃん、これ何処に飾ったらいいと思う?」 「そうねぇ」 Kano はSaori とあれこれと、天使を何処に飾るか話し合っていた。 「パパ、今度は僕のプレゼント見てよ」 「分かった、分かった、もう決めたのか?」 「うん、あのね・・・」 歩道には、たくさんの人達がクリスマスプレゼントを抱えながら歩いている。 恋人達は幸せそうに、家族連れは子供達のはしゃぐのを時折窘めながら、Ryuji 達の前を通り過ぎていった。 Ryuji は、ふと人込みの向こうに人影を見た。 幸せに満ちて、肩を寄せ合いながら、微笑み合って歩いている2人連れの姿を。 そんなRyuji に気づいて、Yoko 、Satoru とSaori もそちらを見ている。 その姿は・・・
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